経理担当者の突然の退職…採用・派遣・代行などの対応で良いのは何?
経理担当者が突然退職してしまうと、会社には様々な問題や影響が生じます。
経理業務は、会社の財務や税務申告など重要な業務を担当しており、会社の運営をスムーズに行う上で欠かせない存在です。
そこで、退職によって生じる課題を解決するためには、経理担当者の新規採用や派遣、経理代行業者への依頼などいずれかの方法で対応する必要があります。
それぞれの方法にはメリットとデメリットがありますので、以下で詳しく解説します。
1.経理担当者が突然退職してしまうと会社に起こることとは?
経理担当者の突然の退職は、会社に以下のような問題や影響をもたらします。
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(1)業務の停滞
経理担当者の退職により、経理業務が停滞してしまいます。
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会社の正確な財務状況が把握できなくなるばかりか、決算や税務申告などの重要な業務が滞ってしまうと法的義務の遂行にも支障をきたすこととなります。
(2)業務の引継ぎ不足
突然の退職では後任者への業務の引継ぎが不十分となってしまいます。適切な引継ぎが行われないと、後任者は経理業務をスムーズに遂行することが難しくなります。
(3)業務の品質低下
経理業務は専門知識や経験が必要な業務です。未経験者が担当すると業務の質が低下してしまい、誤った処理は会社のリスクとなりえます。
2.採用・派遣・代行のそれぞれのメリットデメリットを解説
採用、派遣、代行の3つの対応方法には、それぞれ以下のようなメリットとデメリットがあります。
採用
メリット
▪専任の経理担当者を常駐させることで、業務の継続性を確保できます。
▪経理業務に特化した専門知識や経験を持った人材を採用できます。
▪会社独自の経理業務を継承しやすくなります。
デメリット
▪採用活動や選考プロセスに時間と労力が必要です。
▪専任の経理担当者の採用は、給与や福利厚生費などの人件費の負担を伴います。
▪適切な人材が見つからない場合や、採用しても短期間で退職される可能性があります。
派遣
メリット
▪経理業務に専門知識を持った派遣スタッフを迅速に配置できます。
▪派遣元が人材のスキルや経験を厳選しているため、即戦力を期待できます。
▪柔軟な期間や条件で派遣契約を結ぶことができます。
デメリット
▪派遣スタッフの交代や入れ替えが頻繁に発生する可能性があり、業務の継続性に課題が生じることもあります。
▪派遣スタッフのスキルや業務意識にばらつきがある場合があります。
▪長期的な経理業務の安定性を確保するには、派遣に係る費用が採用した場合よりも高くなることがあります。
代行
メリット
▪代行サービスの利用により、短期間で経験豊富な専門家が業務を担当します。
▪代行サービス会社が保有するノウハウやシステムを活用することができます。
▪会社内での経理担当者の確保や管理の手間が軽減できます。
デメリット
▪外部の組織に業務を委託するため、セキュリティや情報管理に関するリスクがある場合があります。
▪採用や派遣などの方法と比較して、代行費用が高くなることがあります。
▪代行サービス会社の信頼性や品質にばらつきがある場合があります。
3.経理代行サービスとは?
経理代行サービスは、会社の経理業務を外部の専門家や代行会社に委託するサービスです。
経理代行サービスは、経理担当者の退職や一時的な人員不足の対応のために利用されることも多く、経理業務に精通した専門家を配置し、会社のニーズに応じた業務を提供しています。
経理代行サービスの主な業務には、会計帳簿の作成や入出金管理、給与計算、決算書の作成、税務申告などが含まれます。
また、経理代行サービス会社の中には、経理業務の効率化やシステム導入の支援、経理プロセスの改善などのコンサルティングサービスを行っているものもあります。
経理代行サービスの利点は、迅速かつ専門的な対応が期待できることです。
代行会社は経理業務に精通した専門家を抱えているため正確な業務の遂行が可能です。
そして、会社内での人材採用や研修の手間が軽減され、経理業務の品質や効率性の向上が見込めます。
しかしながら、経理代行サービスにはいくつかの注意点もあります。第三者に業務を委託するため、情報管理やセキュリティに関するリスクが懸念されます。
ですので、信頼性の高い代行会社を選ぶことが重要です。
また、代行費用が採用や派遣などの方法と比較して高くなることもありますので、経済的な負担も考慮する必要があります。
4.経理代行を活用して経理退職の危機を乗り切った事例を紹介
以下は、経理代行を活用して経理退職の危機を乗り切った事例の一つです。
ある中小企業では、経理担当者が突然退職するという状況に直面しました。経理業務の遅延や品質低下を避けるため、会社は経理代行サービスの利用を決定しました。
経理代行サービス会社は、即戦力となる経験豊富な経理専門家を派遣しました。
その代行スタッフは短期間で業務に慣れ、会計帳簿の作成や税務申告などの業務を適切に遂行しました。
また、代行スタッフは経理業務の改善点や効率化の提案も行い、企業の経理プロセスの改善に貢献しました。
その会社は、経理代行サービスによって、その会社の経理業務の継続性を確保でき、スムーズな業務運営を実現することができました。
そして、経理代行の専門知識や経験を活用することで、業務品質の向上や効率化を図ることができました。
採用した社員も急に退職してしまった
社員が急に退職してしまうことはよくある話ではないでしょうか。
私が経験したお話したいと思います。以前勤めていた会社は規模的にパート社員含め600人程の社員を有する会社で、社員の入れ替わりが多い会社でした。
社員の入れ替わりは、重要な業務を担う部署の場合は、会社全体に影響を与え支障をきたすものです。
その会社の経理担当者が退職する予定となり、会社でも余裕をもって新規採用を行いました。
新たに採用された社員は経理経験者です。おまけに経理部門は複数人で構成されていましたので業務は滞りなく進んでいました。
しかし、その新規の社員が3ヶ月ほどで辞めてしまったのです。
その新規社員にかけてきた引き継ぎの時間や労力は無駄となってしまった訳です。
結果、経理部門は人手不足となり連日残業の日々です。
幸い税務顧問を依頼していた会計事務所のサポートがあり、経理部門の一部の業務を担ってもらいました。
その間も会社は、採用を試みましたがなかなか条件合う人材の確保はできませんでした。
そこで、会社は、会計事務所の提案もあり、経理業務を見直しシステムなども改めることとし、最終的に人員補充は不要となりました。
早く業務を見直すべきであったとお話しされていたことが今でも印象に残っています。
5.まとめ
経理担当者の突然の退職は、会社に様々な問題や影響をもたらします。
そのため、新規採用、派遣、代行のいずれかの方法で対応する必要があります。
採用では、専任の経理担当者を採用することで業務の継続性を確保できますが、適切な人材を見つけるために時間と労力がかかります。
派遣では、迅速に経理専門の派遣スタッフを配置することができますが、業務の継続性や派遣費用の面で課題が生じることもあります。
そして、代行では、経験豊富な専門家が業務を担当し、迅速かつ専門的な対応が期待できます。
経理代行サービスの利用は、経理担当者が突然退職してしまった事により生じる危機を乗り切るために有効な手段の一つです。
経験豊富な専門家の派遣により効率的な業務遂行ができ、経理業務の継続性と品質の確保が期待できます。
経理担当者の突然の退職にはこれら採用、派遣、代行などの対応方法がありますが、自社のニーズや条件に合った適切な選択を行うことが重要です。